ヒロコのサイエンスつれづれ日記

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科研費採択の天国地獄

こんにちは。

科学研究の資金調達の一つである「科研費」。

これの採択には悲喜こもごものストーリーが付きものです。

まずは公募の告知から始まり、審査委員の選定書類審査を経て最終的な審査が行なわれ、採択された研究課題が発表されます。

(もちろん、研究費の種類や研究機関によって異なる場合がありますので、募集要項を確認することは必要!

そんなわけで(?)、今回は科研費について掘り下げてみたいと思います。

 

1. そもそも「科研費」とは?

科研費」とは、狭義には文部科学省の所管にある日本学術振興会が行なう「科学研究費助成事業」から交付される研究助成金を指します。日本学術振興会の交付する科研費のなかでも、「基盤研究」、「挑戦的研究」、「若手研究」、「研究活動スタート支援」などと区分が細分化されていて、さまざまな段階や規模で、あらゆる分野に対応する形の研究助成が実施されています。

このほかにも科学研究の助成は、国や地方自治体、民間企業などでも行なっていて、その助成金補助金、寄付金なども含めて「科研費」と表現されるケースもあります。いずれにせよ、研究者が研究活動を行なうための費用を支援する制度を指すわけです。研究者が実験材料の調達や被験者募集研究施設の利用研究発表のための出張費用論文執筆の費用(学会誌の投稿料・掲載料)などに利用することが可能です。

科研費は、いわば研究の生命線

主に、大学や研究機関に所属する研究者が応募することができますが、産業界や自治体などでも研究費の提供を行なっている場合があり、応募資格が異なります。

科研費は、研究者が自由に研究テーマを設定し、自主的に研究を進めることができることが特徴的です。

また、競争原理に基づく審査が行われ、採択された研究者には一定額の資金が支給されるため、優れた研究が促進されることが期待されます。

 

2. 採択方法

その採択方法には、いくつか手続きがあります。

まずは以下に箇条書きをしてその全貌を知るために眺めてみましょう。

 

科研費採択には、一般的には以下のような手順があります。

  • 公募の告知

科研費の公募が行なわれます。

各研究分野において、研究課題、研究期間、研究費等の募集要項が定められ、研究者が応募することができます。

  • 審査委員の選定

公募に応募した研究課題について、専門分野の審査委員が選定されます。

審査委員は、研究分野における専門的な知識を有し、公正な判断が求められます

  • 書類審査

研究課題の応募書類が、審査委員によって評価されます。

書類審査の結果、一定数の研究課題が最終選考に進みます。

  • 最終審査

最終審査では、研究者が応募した研究課題について、審査委員による質疑応答が執り行なわれます。

そして最終的に、採択される研究課題が決定されます。

  • 採択結果の発表

採択された研究課題について、採択結果が発表されます。

採択された研究者は、研究費を受け取り、研究を進めることができます。

 

……という展開は理想的なありかた。

しかし、現実は厳しいもので、令和4(2022)年度の科学研究費助成事業(基礎研究(S))への新規応募649件のうち、採択されたのは80件。この採択率12.3%という数字からもわかるように、残念ながら採択される研究より不採択になる研究が多いのも事実です。

まずは、採択されなかったケース、つらい結果となった体験談を心の準備として見てみましょう。

 

採択されなかった研究者

上で見てきたように、科研費の採択基準は非常に厳しいもので、科研費の採択基準が厳しい現代において、研究者たちは大変な苦労を強いられています。

そのため、優れた研究者でも採択されないことがあります。

そんな苦いエピソードをご紹介します。

 

知り合いの研究者が、自分の研究テーマに関する研究費を申請しましたが、採択されなかったことでショックを受け、研究への情熱を失ってしまったことがありました。

自分の研究に自信を持っていた彼女は、何が悪かったのかわからず、何度も改善を試みましたが、結局採択されることはありませんでした。

落胆した彼女は、何が悪かったのかを考え続け自分の研究が不十分であると感じ、何度も自己批判を繰り返してしまいました。

彼女は、他の研究者との共同研究に参加することになりましたが、自分の本来の研究テーマからも、やがて研究からも遠ざかってしまいました。

採択されなかったときの立ち直りかた

とはいえ、ご安心あれ。

彼女はその後、同僚の研究者と話しているとき自分のプロジェクトを高く評価しているという言葉を聞いて、自分の研究が本当に不十分であったわけではなく、ただうまくアピールできなかっただけだったと気がついたのです。

彼女は、もう一度プロジェクトを見直し、アピールポイントを強調し、再び提出することにしました。

数か月後、見事採択!

彼女は不採択の経験を通じて、自分自身の研究価値を見失わず、自信を持ち続けることが重要であることを痛感したと言います。

彼女は科学者としてのキャリアをいまも続け、精力的に研究を続けながら多くの成果を上げています。

 

おわりに

科研費に採択されなかった研究者のみなさんもご覧になっているでしょう。

まずは気を落とすことなく、今後のために前向きに取り組んでいってください。

科研費の競争率は非常に高く、多くの研究者がプロジェクトを立て、熱意を持って応募しています。

採択されなかったとしても、それは単に多くの優秀な応募者がいたからなのです。

上に挙げた例のように、応募が落ちた原因をしっかりと分析し、克服するための改善点を見つけることは重要です。

落ち込んでも自分の提出した研究計画や提案書をしっかりと見直し、改善点を見つけてこそ次の一手が打てるというものです。

応募書類が優れていると自負している場合であっても、研究計画をより深く考え、提案書をより洗練されたものにすることを検討してみるのはいかがでしょうか。

そして、次回の応募に向けて、説得力のあるプレゼンテーションを行なう準備をしておきましょう。

また研究プロジェクトを深めるためのアドバイスを求めることもおすすめです。

最後に、科研費が得られなかったとしても、研究は楽しいことであることを忘れずに、今後も熱意を持って研究に取り組みましょう。

そして、その熱意が反映され、結果的には資金面でも成功する可能性を秘めていることをいつでも念頭に置いてくださいね!

 

ここまで読んでくださってありがとうございました!