ジャーナル投稿に挑戦!2〈投稿篇〉
こんにちは。
前回に引き続き、ジャーナル投稿についてお送りします。
後半の今回は【投稿篇】です。
1:論文の投稿先
これが大事になってくるのは、見当違いなジャーナルに出すとリジェクトされるだけでなく、編集部が査読に回す前に不採択を決定する“エディターキック(Editor Kick)”の決定がなされるのにも、まるまるひと月以上かかって、労力ばかりか時間も費やしてしまうからです。
アクセプトを待っている時間ほどつらいものはないですからね……。
ジャーナルを選ぶ際には自分の書いた論文がどのジャーナルの目的と範囲(Aims and Scope)にハマるかという視点でも、精査していきます。
押さえるべき点はいくつかあっても、通底するのはジャーナルの特徴を知ること。
それさえしておけば、だいじょうぶです!
2:ジャーナルの探し方
- 普段よく読む学術雑誌
自分の論文で引用している学術論文が掲載されているジャーナルは何度も見かけているので、難なく思い浮かぶと思います。
まずは自分が引用する論文が多く掲載されているその学術雑誌を候補にしましょう。
読者・査読者・編集者に研究内容や重要性をわかってもらえる可能性が最も高いです。
- 新しい学術雑誌
次に、新しい学術雑誌にも目を配ってみましょう。
オープンアクセス(OA)形式が多いと思います。
- 特集号
ジャーナルで企画される特別号がわかっていれば、そこに掲載されると同じ研究分野の研究者が読む可能性が高いので候補に入れてください。
- ウェブサイトをチェック
ジャーナルのウェブサイトを見て、どのような論文が求められているかを確認しましょう。
サイト内のジャーナルの掲げる目的やターゲットとする読者層、出版頻度、査読方法、掲載している論文の形式(ニュース、リサーチペーパー、レターなど)の情報も得られます。
- インパクトファクターの確認
ジャーナルのインパクトファクター(JIF)はウェブサイトに載っているケースが多いです。
ジャーナルが求める論文と執筆している研究論文の内容が合致している雑誌の中から、採択率や結果の返答までにかかる時間(turnaround time)ジャーナルの投稿先を決めましょう。
ジャーナルによってはカバーレターの必要などがあり、執筆要項はちがいますので、必ず投稿先となるジャーナルの規定を確認してくださいね。
ちなみに細かいところですが、なかには図表に色付けする際に印刷費用を払う必要がある学術雑誌もあります。
そんな情報も事前に見ておくとgoodです。
3:AIで爆速! 論文サービスお役立ち情報
最後に、論文投稿に役立ちそうなサービスを載せておきたいと思います。
http://journalfinder.elsevier.com/
大手出版社Elsevierのジャーナル情報検索サービス。
論文タイトルとアブストラクトを入力すると,Elsevier社が出版するジャーナルから最大10誌程度、投稿先を提案してくれます。
ありがたいことにジャーナルごとのインパクトファクターだけでなくアクセプト率や査読期間もわかるので、比較するときにはとても重宝します。
https://www.semanticscholar.org/
無料のAI搭載科学文献調査ツール。
マイクロソフト共同創設者のPaul Allenによって2014年に設立されたアレン人工知能研究所(Allen Institute for AI)が提供するサービス。
アブストラクトや図表の自動抽出や、PubMed、IEEE、Science、Springer Nature や bioRxivなど世界中500以上もの出版社、学会、大学出版局のデータベースからキーワードを自動解析しトピックの分類や論文の引用情報の意味解析をしてくれます。
論文内容を自動で一文に要約するTLDR機能など、素速く論文を見つけられる使い勝手のよいサービスです。
Elicitは優秀な研究補助のように、単語から関連論文を探すだけではなく、リサーチクエスチョンやそこまでまとまっていないちょっとした疑問を入力すると、一瞬で調べたい論文情報の要約がリストとして出してくれます。
GPT-3という深層学習を使った新しい論文検索エンジンで数十億の論文データベースをAIで深層検索、研究に関わる一連の問いと答えを論文コンテンツから自動生成しているそうで、なかなか画期的なサービスだと感じています!
おわりに
以上、今回はジャーナル投稿にまつわる準備から選び方までご紹介しました。
自分の研究を面白いと思ってくれる人は必ずいるので、投稿しないのはもったいない!
査読者の方がうまく解釈して「こう解釈したらどうだろうか」という提案コメントをしてくれることもありますし、自分ではうまく解釈できない結果でも出版された後にうまく解釈してくれる人が出てくることもあります。
勇気をもってぜひ投稿生活をサヴァイヴしてください!
それでは、また!