ヒロコのサイエンスつれづれ日記

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ChatGPTを利用した英文校正の有効性

現代のデジタル時代において、正確かつ流暢な英文表現はますます重要になっています。

しかし、自身の文章を校正することは容易な作業ではありません。

そこで、話題を総ざらいしているChatGPTのような大規模な言語モデルが有用かどうか、考えました。

今回、本記事ではChatGPTが英文校正においてどのように役立つかについて深彫りしてみましょう。

 

1. ChatGPTの機能と利点


ChatGPTは高度な自然言語処理技術を使用しており、文法や文脈に基づいて文章を解析し、修正の提案を行なうことが可能です。

そのため、現在さまざまな利用法が取り沙汰されていますが、その利点をまとめてみると以下の通りです。

  • 幅広い知識: ChatGPTは多様なトピックについての幅広い知識を有しています。そのことで、さまざまな文書や文章の校正に活用することができると思われます。
  • アップデートされつづける表現:ChatGPTが注目されることの1つにトレーニングデータとして最新の文章を使用していることがあります。そのため、最新の言語表現や用例、回答が可能となっているわけです。
  • 迅速な処理:ChatGPTは高速で効率的に処理していきます。大量の文章を短時間で校正できることも魅力です。

2. 注意点と制約

ただし、ChatGPTを使用する際には当然ながら注意する点があり、念頭に置いた方がいいと思われることもいくつかあります。

  • 文脈の理解: ChatGPTは前の文脈を考慮しながら文章を生成していくのですが、校正においてけっこうな頻度で文脈に基づかない誤った修正を提案することがあります。校正を行なう際は、提案された修正案が元の文章と整合するものであるかを確認することが必須となります。
  • 専門用語と専門分野の文章:ChatGPTは一般的な知識にはとても精通しているのですが、特定の専門タームや専門分野の文章の校正にはかなり限られた知識しか対応できません。専門用語や専門分野の文章を校正する場合は、その分野に精通したプロフェッショナルな人物による校正を依頼することがおすすめです。
  • ヒューマンエディターの確認:ChatGPTは自動的に文章を修正するための提案を行ないますが、校正の最終判断はヒューマンエディターに委ねるべきです。ChatGPTの提案を参考にしながら、最終的な修正を行なうことは省けない行程だと思います。

3. やってみました

では、早速例としてChat GPTで英文校正を行なう手順について見ていきましょう。

まず、AIに出す指示(prompt)をチャットボックスに入力し、" ”内に校正したい文章を入力します。効果的なプロンプトについては後述のリンクなどを参考にしてみてください。

文字数の制約があるため、あまりに長い文章は途中で切りながら入力します。

ここで日本語から直接入力してももちろん英語で回答があるのですが、DeepLやGoogle翻訳といった機械翻訳で先に英訳しておくとこなれた英語で出てきます。

出典は千葉大学の紹介記事から行き着いたAwesome ChatGPT Promptsをわたしも使ってみました。

 

I want you to act as an English translator, spelling corrector and improver. I will speak to you in any language and you will detect the language, translate it and answer in the corrected and improved version of my text, in English. I want you to replace my simplified A0-level words and sentences with more beautiful and elegant, upper level English words and sentences. Keep the meaning same, but make them more scientific and academic. I want you to only reply the correction, the improvements and nothing else, do not write explanations. My sentences are “文章入力

 

ここからChat GPTによって提案が出力されてくるのでそれを確認、必要があれば換えていきます。

おかしくないな、と自分が納得できるまでこの繰り返しを行ないます。その文章をまたChatGPTにかけて、ミスや改善の余地を探し出すこともやってみるとよさそうです。

そして絶対忘れてはいけないのが、ヒューマンエディターの力です。

ChatGPTは英文校正において貴重ではありますが、すべて任せると大惨事を招く可能性があると思っています。

ヒューマンエディターの役割は重要であり、最終的な校正の判断は人の手を頼るべきです。

 

おわりに


使ってみたところ、ChatGPTは英文校正において有用なツールであると言えます。

ヒューマンエディターの労力をもってしては不可能な時間で一気に校正してもらえる魅力はやはり大きいです。

幅広い知識から提案を行ない、迅速な処理が可能だからです。

とはいえ、文脈の理解や専門分野が限定的な情報しか持たないことを念頭に置いて、ヒューマンエディターの確認を組み合わせることは必須かな、と思います。

くわえて注意したいのは、ChatGPTの校正により生成された文章は、当然ながら、どこかに既に存在した文章を学習した内容を下敷きに作られます。剽窃・盗用にあたる内容が生成された文章に含まれていてもおかしくありませんので、必ず確認しましょう。

個人的には、まだしばらくは英文校正は専門の会社に出すかな、という感想です。

 

ChatGPTの活用により、より正確でリーダブルな英文表現を叶えられることは、今後ますます見込まれます。

このブログでもチェックしていきますので、また変化があったら追跡記事を出します。

ここまで読んでくださってありがとうございました!