ヒロコのサイエンスつれづれ日記

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【オンライン学会対策】ヒアリング&プレゼン力を鍛えるコンテンツ5選

COVID-19の影響を受け、多くの国際会議がオンラインで行われていますが、今後もオンライン会議はますます盛んになると思われます。これまで、高い飛行機代を払い、長距離移動しなければ参加できなかった国際会議にオンラインで参加できるとなれば、とりわけ若手研究者や大学院生にとってありがたい話です。

 

でも国際会議というものは、「いつか、きちんとした結果が出てから」「いつかもっと英語がうまくなってから」参加するものと思っていませんか?その気持ちは、よ~くわかります。でも、その「いつか」って、いつ来るのでしょう?

 

今はネット上にあらゆる英語コンテンツがあふれ、しかも無料で視聴できる時代。日ごろからオンラインセミナーをチェックしておけば、国際会議のハードルは、ずっと低くなるはずです。今回はウェビナーの活用法とおススメコンテンツをご紹介します。

 

オンラインセミナーをチェックしておけば国際会議も怖くない!

ヒアリングを鍛えたいなら、やっぱりシャドーイング

国際会議で何が大変かというと、ずばりヒアリングですよね。発表なら、口頭であれ、ポスターであれ、事前に原稿や資料を用意できますが、ヒアリングは出たとこ勝負です。

 

「口頭発表のあとの質問タイムで聴衆の質問がよく聞き取れず冷や汗をかいた」とか、「シンポジウムに参加したけど、皆がどっと笑っているところで何が面白いのかわからず、とりあえず自分も笑ってごまかした」などの経験をされた方も多いかもしれません。

 

未だにヒアリングで苦労している私が、ささやかながら日々とりいれている方法、それは「気に入ったコンテンツをひたすらシャドーイングする」です。

 

シャドーイングとは聞きながら後を追いかけるように真似して発音することで、英語のトレーニング方法としてよく知られています。シャード―イングにもいろいろなやり方があるようですが、簡単な方法は次の3ステップです。

 

  1. まずは(ところどころでもいいので)とにかくシャドーイングしてみる。
  2. 次に(あれば英語の字幕を見ながら)聞き取れなかったところを一時停止しながら丁寧に追いかける。
  3. 字幕を見ないでシャドーイングできるようになるまで繰り返す。

 

ただ、英語字幕が正確とは限らないので注意が必要です。YouTubeの動画では英語のスクリプトを表示できるものが多いのですが、固有名詞や早口のところなど、間違っていることも多々あります。そのような場合は速度を落として何度も繰り返し再生し、正しい英語を聞き取りましょう。

 

お薦めコンテンツ5選

では、早速、シャドーイングをしてみましょう。シャドーイングの教材は映画でもVlogブイログ/動画ブログ)でもなんでもいいと思いますが、個人的には映画の方がサイエンスのプレゼンテーションより英語の難易度としては高いと感じています。なので、私のようなレベルでもついていけそうで、かつ学会発表にも役に立つコンテンツをご紹介しますね。

 

TED

ご存知、”Ideas worth spreading”をキャッチフレーズに、あらゆる分野のレクチャーを視聴することができるサイトです。TEDの講演者は比較的ゆっくり、はっきり話しているので聞き取りやすく、シャドーイングにもうってつけのコンテンツだと思います。

一流のサイエンティストによるプレゼンテーションもあり、

など、とても面白いです。話の掴みが上手で、ユーモアたっぷりのプレゼンに引き込まれますし、リサーチクエスチョンも非常に明確で、アプローチも斬新、「良い研究者は良いプレゼンターでもある」というお手本のようなレクチャーです。

 

Nobel Prize

ノーベル賞授賞式の様子や受賞講演をはじめ、受賞者のインタビューや晩餐会のデザート(!)まで公開されている YouTubeアカウントです。なかでもその年の受賞者が一般の人からの質問に答えるというBBCの番組Nobel Mindsはお勧めです。出される質問は一見シンプルですが、答えるのが難しいもの、考えさせられるものが多く、回答者も言葉を選びながら答えています。あらかじめ質問の内容は知っているのだとは思いますが、それでも、まずは「いい質問ですね」とか「質問は短いけど答えは長くなりますよ」など、ちょっとした前置きをしながら、問いの核心にせまる答え方は大変勉強になります。

 

また創造性や真理の探究をテーマとした座談会シリーズNobel Week Dialogでは、さまざまなジャンルの受賞者が、良い研究をするための秘訣を明かしており、発想のヒントも満載です。皆さん、リラックスした感じで座談会に臨んでいるのでジョークも多く、これまた会話に使えそうです。

 

The Royal Society

英国王立学会のYouTubeアカウントです。1660年代に創立された世界最古の学会でProceedings of the Royal SocietyやPhilosophical Transactionsといった学術誌の出版やアウトリーチ活動を行っています。子ども向けのコンテンツも多数あるので気楽に視聴できますし、オンラインディスカッション、例えば

A cracking approach to inventing tough new materials: fracture stranger than friction.

(強固な新素材を開発する「メッチャいい」方法とは?:破砕は摩擦より奇なり)

では、研究者たち同士が交わす生きた英語のやりとりに触れることができます。

ちなみにこのタイトルにあるcrackingには、「かっこいい」以外にも「粗砕」という意味があります。また、stranger than frictionは映画『Stranger than fiction(2006年:邦題「主人公は僕だった」)』をもじったもの。国際学会にいくと、シンポジウムもたくさんありすぎて、どれを聞こうか迷ってしまいますが、タイトルにユーモアが込められていると、モチベーションが上がりますね。

 

Enago Academy

英文校正サービスのEnagoが提供するオンラインセミナーです。登録は必要ですが、無料で視聴することができます。論文の書き方だけでなく、査読、プレプリント、オープンアクセスといった学術出版に関する最新の話題、さらには研究を促進するためのソーシャルメディア活用法や統計学の基礎知識といったものまで幅広いトピックを扱っています。

 

各種オンラインイベントプラットフォーム

冒頭にも書いたように、各種国際会議がオンラインで開催されています。ACS(米国化学会)やASCB(米国細胞生物学会)のように大きな学会は自分のサイトで運営していますが、そこまで大きくないところはオンラインイベントプラットフォームを活用しています。

所属していない学会のオンラインイベントを参加したいときはプラットフォームから検索をかけるのも一つの手です。例えばeventbriteではあらゆる領域の国際会議やウェビナーに参加することができます。また、underlineからは情報科学系をメインとしたセミナーに参加することができます。

 

いろいろとご紹介しましたが、少しでもオンライン学会の参考になるサイトが見つかれば幸いです。

語学習得の基本は真似ること。「この人を真似したい!」とか「こんな風に話したい!」というコンテンツを見つけてシャドーイングを繰り返しているうちに、ある時、ビックリするほど聞き取れるようになると思いますよ!